105213 ランダム
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・・・護送車が来るまで

超 混んでるね。




私はあまりの出来事にすっかり、頭に血が昇っており


周囲にギャラリーがいる事にさえ、気がついていなかった。



犯人を取り押さえたTはその場で、警察官に保護され


私はやたら大きな警察官2人に肩を抱かれ守られるながら連行された・・・


この時コバンザメはようやく、私達に追いついたのか?事情をまるで

把握していなかったらしい。本当におめでたい娘である。



後で聞いた話によれば

スタッフH(♂)は私が犯人に暴行を加えた為、犯人グループの一味から

シャンパングラスを足元へ投げつけられたそうで、

それを見ていた警察官が、またその一味を逮捕していたとか。

本当にぐちゃぐちゃの訳の分からない状態であったが、

私が冷静になった時は、周囲のギャラリーの拍手喝采を浴びていたのは

記憶している。


私と金太郎氏
は警官に抱きかかえられるように保護され

犯人と一緒に、連行されていたが

ここまで人様の目に触れてしまった後では、

Hとコバンザメをここへ残しておいてはいけない。

犯人グループの一味がまたどこかに潜んでいるかもしれない危険性があるのだ。



二人の絶対的な身の補償が欲しかった私は

警察官に彼らを完全に保護する様に伝え、

彼らも私達と同じ場所へ連行される事となった。



警察に連れて行かれた場所は

コンコルド広場寄りの一角。

そこには、手錠を掛けられた黒人が数人壁に向かって立たされており、

銃を持った警察官が彼らを監視しながら

被害者・加害者が向き合いになって護送車を待つというヒドイ有様であった。


この時の緊迫感と言ったらなかった。

警察官に事の経緯を話すと

この30分で、ひったくり事件が既に27件起きている。
貴方達は、カメラが手元に帰ってきているのでラッキーだ。
この27件の中でひったくられた品が手元に戻ってきてるのは
君達だけだ。
ケガもなく無事だったのはラッキーだよ、運が良かったね。

さて、事件の報告書を作らないといけないのだが、
もちろん手元に戻ってきているという事で放棄する事も出来るがどうする?
報告書を作ると、今夜奴を牢に入れる事が出来るし
犯罪履歴が残る事になる。
そうすると、今後奴はもう2度とひったくりを犯さなくなるかもしれないよ。
まぁ、君達は犯罪にあってないようなものだけども。


これを聞いた私と金太郎

同じような犯罪が彼らグループ内だけでも、絶対に起きないように
こらしめたかったので、報告書を作ってもらうために護送車を待つ事に
した。

この日の気温は何度だっただろうか??

先程までは過熱していたこの街も、だいぶ人込みが減り

すきさらしの風がとにかく強く感じる。

頬を刺すような風と、犯人とのにらみ合いで、

護送車を待つのは、辛くて寒くてしょうがなかった。



警察官の話によると、護送車は間もなく到着するとの事だが

10分待てども、20分待てども、来る気配がない。

私達が取り調べを受けている際・そして護送車を待っているこの数十分の間に

犯罪数は益々増えていたらしく、

犯人と被害者のピックアップに時間がかかっているようだった。



先程までは数十人体制で監視していた警察官も

無線で呼び出されては減り、僅か20~30分の間には10人以下となっていた。

もちろん、目の前には手錠をかけられた犯人達がいるのだ。


何かあっては危ない。

緊張感の走る一角に、被害者も警察官も異常な緊迫感が走っていた。

警察官は犯人を見張る最低限の人数だけとなった為

側についていてくれた警官も、当然借り出された事となった。


コバンザメはもういいじゃん!

危ないよ!寒いから帰りたい。パニッシュなんて考えずに

ホテルに帰って暖をとろうだの、ここで待つのはあまりに寒くて辛いだのと、

言ったが私と金太郎氏
は断固として拒否した。


元はと言えば、このコバンザメの不注意から始まったのだが

当の本人は、寒さに耐えられず

護送車を待ってる間は目の前のCAFEでお茶してるわ。と言い残し

さっさとCAFEへ入っていった。

何故?私はこの娘と仲良く親友なんてやってるのだろうか?
疑問が残るところである。



小判サメがお茶をしだして、約30分ぐらいだっただろうか?

ようやく、護送車が到着し

それでは被害者・加害者の皆さん乗ってくださいと警官に言われ

乗り込もうとしたら

警官:
「あまり、犯罪が多いものですから、護送車が足らず
この車で他のポイントまで
迎えに行かねばなりません。
恐れ入りますが、被害にあった本人一人だけご乗車頂き、
同行の方は別の足を使って、中央警察所まで行ってください。
次のポイントで、人を乗せたらすぐに中央警察へ戻って来ますから。」
と言われた。

不安だ・・・。
この際はっきり言うが、

数十人の犯人は全てアフリカ系の黒人で、とてつもなく大きい。

いくら金太郎
が180cmです!と言っても、体の作りが全く違うのだ。

彼なんて、彼らから見たら小人、もしくはそれ以下。

ひょっとしたら、蟻んこかもしれない。

護送車の中は、このドデカイ黒人と被害者で埋め尽くされており

こんな中に被害者を向き合いで立たせるなんて

あまりに酷であろう。



護送車を待つまでの間、

被害者同士で固まって、お互いどんな経緯があったのか?を話した。

被害者は8名。

日本人はいない。

というか、

警官曰く、ほとんどの日本人は諦めるのだとか。

もちろん、フランス語という大きな言葉の問題もあるからかもしれないが

危険性を考えての事であろうと言う。

私らだって、フランス語は話せないが、なんらかのパニッシュメントを

与えん事には安眠できんのだ。

被害者はドイツ人・地方のフランス人・イギリス人・カナダ人・アメリカ人・
アメリカ在住の韓国人と言ったところで

中には、私が犯人に暴行を加えるシーンを夢中で見ていたすきに

デジカメが盗まれちゃったんだよ!と笑って話しかけてくるカナダ人もいた。


・・・・・。


そんな事を言われても、どうしようもないじゃないか・・・。

何だか申し訳なさで一杯になり、護送車が来た時の私はかなり凹んでいたが

護送車が到着したのを、カフェの窓際で見ていたコバンザメは

「やっと来たね~!」とにこにこ走り寄ってきた・・・。



これからが長い長い道のりであるとは、この時知る由もなかった。


明日へ続く






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